虎の置物

location:福岡県糸島市志摩芥屋

糸島からお届けしています

ボクが子どもの頃に金属で出来た「虎」の置物が自宅の居間に置いてありました

全長約30センチほどの大きさの置物で虎が四つんばいになってシッポがピョーンと伸びて顔がガオーってしてる置物です

金属で出来ていて全体が黒っぽい茶色のような色です

ボクの弟が寅年生まれなので弟の誕生の際に父上が購入したのかお祝いでもらったのかよくわかりませんがボクが小さい頃からずっと自宅にありました

ボクが中学生だったときのある日、父上が「この虎の置物は命が宿っているかもしれない」と訳の分らんことを言い出しました

ボクが「何で?」と父に尋ねると「ここ数ヶ月ずっと見ているが、この虎の胴周りがどんどん黒くなって来ている」と言うんです

そして最初はお腹の胴回りの中心部が少し黒っぽかったのがだんだんと黒い色が濃くなっているとのことでした

またその黒っぽくなっているのが広がって来ていていつか全体が黒っぽくなりそうだとのことでした

父上も真剣に「これは何かの前触れで置物に命が宿っているかもしれない」とちょっと宗教じみたことを言い出し始めました

その後も父上はその虎の置物をジロジロ見ていて置物を触るときは白い手袋までして大事に扱っていました

そしていつも「不思議だ~、不思議だ~」と言っていました

その虎の置物は重さがちょうど3キロあることをボクは体重計で量ったことがあったので知っていました

その虎の置物はちょうど3キロなので実はボクが胴回りを握ってダンベル代わりに数ヶ月前から筋トレしていたんです

おそらく胴回りが黒っぽくなってきているのはボクがダンベル代わりに素手で握ってたからだと思います

というか間違いなくそうです

父上がずっと気にしていることを知ってからは流石に虎の置物で筋トレするのをやめました

それからは胴回りが黒くならなくなりました

その後父上は真剣な顔で「止まった」と言ってたのを覚えています

さすがにあの時の父上の真剣な顔を見たら「それボクが筋トレ用にダンベルの変わりに使いよるからだよ」とは言い出せず、ずっと内緒にしていました

父上ごめんよ、あの時に虎に命を吹き込んだのはボクなんだよ

もうしないから

それではまた