location:福岡県糸島市二丈松末
糸島からお届けしています
今日は自分の尺度でものを測ってはいけないという話です
これはかれこれもう15年近く前の話になります
ボクの奥様の里は漁師をしていました
奥様のお父さんも漁師でしたが、奥様が高校のときに亡くなってしまって里はずっとジイちゃんが漁師を続けてました
そのジイちゃんも数年前に亡くなり今は漁師を誰も続けておりません
ボクが奥様と結婚して里に帰ったある夏に死ぬかと思うことがありました
里に行ってジイちゃんが漁に行くとのことだったので「海で泳ぎたいから連れてってよ」ってお願いしました
するとジイちゃんは「沖に連れてっちゃるけん、船に乗れ??」と快くOKしてくれました
イェーイ!泳げると喜び海パンに着替えてジイちゃんの船で沖まてGOでした
その日は天気も良く沖へ向かう船に乗るのが気持ちいいこと、気持ちいいこと
いっとき潮風にあたりながら沖へ向かうと見渡す限り360度の水平線
岸からは拝めない海の絶景です
360度の水平線ともなると海の色は青を超えて「紺」、ダークブルーの絶景です
こんな深い海で誰もいないプライベート沖なんて最高やーん
よくセレブでありそうなクルーザーで沖まで行ってのんびりとクルーザー浮かべて泳ぐみたいなのを想像しちゃいました
するとジイちゃんが「ここで泳いだらよかぞ」と言ってくれました
イェーイ!さあ泳ぐぞと喜んで海にドボーンと飛び込みました
夏の暑い船の上から飛び込んだ沖の冷たい海が気持ちいいのなんのって
開放感もすごくて「いーねー??」の一言
するとジイちゃんが「漁に行ってくるけん、泳ぎよけ」と言って漁に行っちゃいました
そんなジイちゃんの船もあっという間に見えなくなり、ふと気がつくと、とてつもない沖の海にボク一人
おそらくめちゃくちゃ深い海の上にボク一人
「これってヤバくね??」、、、
そうですヤバいです
そこからは優雅に泳ぐというより、とにかく浮かんでいるだけの立ち泳ぎ
その後、待てど暮らせどジイちゃんは戻って来ない
浮かんでるボクの足先には冷や冷やした沖の海
だんだんと「サメとか来ないよな??」とか想像だけでもう限界
足をバタバタさせるだけで体力使いそうだから出来るだけ浮かんでるだけにしてるけど気持ちは焦るばかり
たぶんヤバい状況だったので時間の感覚が麻痺して3時間ほど浮かんでたような気がしました
後で聞くと1時間くらいだったらしいだすが…
ジイちゃんはこの広い海にボクがいるところ判るのかと不安は最高潮
とうとう「死」を覚悟しなければと思うようになりました
もう立ち泳ぎも出来ないほど体力は使い果たし沈んでいくのを待つだけ末期状態
ボクはサメのご飯になるんだ?と思っていたとき、向こうの先からジイちゃんの船が
た、助かった
そしてジイちゃんの一言「もうそろそろ上がるか?」とのこと
「あの~死にかけてるんですけど~」と言って自力で船にも上がれず引き上げてもらいました
船に上がってジイちゃんに「こんなとこに置き去りにされたら死ぬやろ??」と言いました
するとジイちゃんは「普通半日くらいは泳げるやろ」とのこと
そんな人は、ほとんどいませんので
ジイちゃん、あの世で普通の人は半日くらい泳いでいられると言ったらアホと思われるから黙っとくんだよ
死にかけた兼、自分が出来るから誰でも出来るわけないというお話でした
意外と自分が普通にやってることは、他の人できませんので
それではまた